2021年度 公益社団法人日本口腔インプラント学会 認定講習会第4回 報告

KIRG主催日本口腔インプラント学会認定講習会 第27期 第4回感想文

第27期 福山雅大 福山歯科医院(佐賀県武雄市)

 

7月17~18日、第4回の認定講習会が開催されました。

1日目の午前は和泉雄一先生の講義で、歯科領域の再生治療についての内容でした。GBRやEMD、リグロスなどについてはもちろん、さらに研究が進んでいる材料について教えていただきました。歯根膜細胞シート等については詳しい話を聞くのは初めてで、勉強になりました。

 

午後は永井省二先生の講義から始まりました。インプラント埋入後の補綴・咬合・咀嚼に関して、多くの文献や症例に基づいて教えていただきました。下顎位・咬合平面・咬合様式などは静的な状態だけでなく、咀嚼や発音など機能運動についても考慮して決定することを心掛けたいと思います。

 

続いては横田誠先生より、咬合によってセメント質が損傷を受け難治性歯周炎に至るメカニズムについて、実際に治療にあたられた患者さんの統計解析に基づいてご講義いただきました。PSSやPSDなどの装置により、咬合力から歯牙を守る手法についても学ぶことができました。

 

澤瀬先生からは、学会ケースプレゼンテーション試験について説明がありました。資料や適切な用語など、日頃から意識しておかなければならないと感じました。

その後のケースプレゼンテーションでは、受講生の古川先生が提示された症例について、活発な議論が交わされました。

 

2日目午前は飯島俊一先生の講義でした。ITインプラントを用いて対応された難症例を惜しみなく提示してくださいました。

インプラント体の表面性状・マイクロギャップ・付着の喪失がインプラント周囲炎を惹起するリスクであり、マイクロギャップを防止する点で口腔内接着法が有効であると学びました。また、特に若年者のインプラント治療では、経年的な変化に対応を考慮しなければならない、という点も強く印象に残りました。

 

午後は、小笠原一行先生の講義で、咬合再構成におけるインプラント治療と矯正治療の重要性について教えていただきました。インプラントアンカーを活用した矯正治療、インプラント前処置としての矯正治療など、最善を尽くすためにはいずれも欠かせない技術であることを痛感しました。矯正についての知識を深め、矯正医との良好な連携を持つことは必須であると感じました。

 

最後は、土屋嘉都彦先生によるインプラントオーバーデンチャーについての講義でした。インプラントオーバーデンチャーの設計や製作法について、エビデンスや症例を交えながらお話いただきました。巷で言われるほど安易に手を出せる治療法ではないと認識を新たにしました。この機会に、全部床義歯についても勉強しなおそうと思います。

 

以上、今回の感想です。

COVID-19の再拡大に伴い、今回も現地とWebのハイブリッド形式となりましたが、幸いなことに私は現地で受講することができました。

講師の先生方、KIRG会員の先生方、事務局の皆様のご尽力に心より感謝いたします。

————————————————–

KIRGを受講して(2021.07.16~17)

第27期 岡大和 おか歯科(佐賀県佐賀市)

 

和泉雄一先生には、歯科領域における再生治療の歴史から評価の方法それぞれの材料の特徴など丁寧に教えていただき、最前線の再生治療の奥の深さ、未来への希望を感じました。

 

永井省二先生には、インプラント治療に必要な咬合の知識として、そのベースとなる歯周組織の状態からインプラント補綴に必要な形態、咬合接触の与え方等自分たちが直面し悩むであろうことに対して丁寧に分かりやすく教えていただき、自分も患者さんの健康に対し寄与できることを増やしたいと強く感じました。

 

横田誠先生には、歯根膜で考える咬合性外傷と予後診断法として、歯周病に対しプラークコントロール以外にも重要な要因があることを教わりました。疾患の原因を様々な視点から考察し、原因、治療法を探る、大変勉強になりました。

 

飯島俊一先生には、インプラント補綴の種類やその作成方法についてとして、それぞれのインプラントの構造としての特徴、注意点を知ること。様々な症例に対して補綴物選択をどのように考えていくのかを、ご自分の症例をもとに解説していただき、大変勉強になりました。

 

小笠原一行先生には、インプラントと矯正治療として、局所的な歯槽骨状況の改善から全顎的な機能の正常化まで幅広く患者さんに寄与できること。自分の能力が増すことで診断力も増え、より患者さんの健康に寄与できることを教えていただき大変勉強になりました。

 

土屋嘉都彦先生には、インプラントオーバーデンチャーとして、義歯作成における術者の不十分な技術を補う安易なものではなく、義歯に関ししっかりと理解をすることの重要性を教わりました。IODを行うことで力のバランスの変化に対しての注意等慎重な治療計画の重要性を教えていただき大変勉強になりました。

 

各分野のエキスパートの先生方の講義は奥が深く自分の知識や考え方が増えることに喜びを感じています。 コロナ禍でのWEB講義ですが、臨場感をもって受講できるように環境を整えて下さっている事務局の方々にも大変感謝いたしております。

————————————————–

2021年度 第4回 7月認定講習会を終えて

第27回 鬼頭孝行 伊東歯科口腔病院(熊本県熊本市中央区)

7月17日(土)、7月18日(日)の2日間で第4回の認定講習会に参加させて頂きました。今回もこれまで通り、現地で受講する方とWebで参加する方の2つに分かれるハイブリッド方式でした。私は、熊本在住であり、第2回の全員Web参加以外は現地で拝聴させていただいています。個人的な感想としては、第1回は皆さん初めましてで緊張感がありました。そして、第2回になると、新型コロナウイルスの第4波の影響でWebでの参加を余儀なくされました。第3回でも、現地での参加者は3名であり、どこか2日間を通じて寂しいといった印象を受けました。そうした経緯がある中で、ちょうど半分を迎える今回の第4回となりました。首都圏や関西エリアでは、第5波の影響で、再度緊急事態宣言が発令となり、未だ全員の現地参加には至っておりません。今回は現地での参加者が8名と、先月にはない活気があったと感じました。11月の最後の会を迎えるまでには、現地参加を希望する方には是非お越しいただき、質疑応答をはじめ、より会が盛り上がり充実するものと願っております。来月からは、実習もはじまるとのことです。1日でも早く、この感染症が落ち着き、元の生活とは言わなくとも、当たり前に人が移動できたり、人々が交流することが遮断されない世の中になって欲しいものです。講義内容としては、今月も和泉先生のような大学で長く研究をなされていた方から、飯島先生のようにバリバリの臨床家の先生まで幅の広い生きた経験を拝聴でき、より一層インプラントに対するモチベーション、取り組む姿勢が自分の中で何か変わった気がします。

早いもので、もう全体の折り返しとなりましたが、諸先輩方が築いてきたこの素晴らしい会に参加できたことを嬉しく思い、ここで学んだ知識や人との繋がりを財産と思い、今後の糧としていきたいです。これからも日々の臨床に精進して励みたいと思っております。

今後ともご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い致します。

————————————————–

2021年KIRG 認定講習会 4回感想文(2021.07.17~07.18)

第27期 古川幸介 こうすけ歯科医院(佐賀県佐賀市)

 

今回も、熊本市国際交流会館で内容の濃い充実した2日間を過ごすことができました。現在コロナ禍のため、ハイブリッド形式で行われており、全国の先生方と直接お会いしお話しできないのは大変残念ではありますが、講義内容は、非常に充実していて、時間があっという間に過ぎました。

<1日目>

(和泉雄一 先生)

歯周治療の変還の流れ(対症療法→原因除去治療→再生療法→未来の歯周治療)を非常にわかりやすく、症例を交えて講義していただきました。歯髄細胞(間葉系幹細胞)から全身の細胞に分化すること、歯周再生療法の評価基準は6か月以上置くことが推奨されていること,FGF-2は骨形成には有効だが、真の付着において、エムドゲインとFGF-2に差はないこと、新生セメント質をつくるためには歯根膜の再生が重要なことを学びました。

 

(永井省二 先生)

私にとって講義内容が盛りだくさんでちょっと難しかったですが、咬合の安定のためには総合的な視野から顎位の評価をすること、安定した咀嚼しやすい咬頭嵌合位を与えること、左右対称なバランスの良い咀嚼機能を維持することが大事であると教えていただきました。

さらに知識を蓄えないといけないと痛感しました。

 

(横田誠 先生)

講義を聴かせていただき勉強になりました。確かにポケットはそんなに深くないが、咬合時痛みを訴えられる患者さんがいます。拝聴した後、「なるほど・・・」と思いました。具体的には、歯根膜が腫れると動揺が起こること、セメント質は加齢とともに壊れること、咬合性外傷には、タイプA…炎症型、タイプB…咬合型があり、特に高齢者の歯は支えないといけないことを学びました。

 

<2日目>

(飯島俊一 先生)

いつもながらマニアックな講義で、聴いていて感心させられます。ボーンレベルはティッシュレベルより2,3倍炎症が多いこと、4割の患者で骨は減ること、貫通部は、強度的な問題が許すなら可能な限り、細いインプラントを用い、補綴物の接合部は縁下に入れないように注意するのが大事であると教えていただきました。

 

(小笠原一行 先生)

EXT後、6か月で垂直的には1.2mm、水平的には3.8mm骨は吸収すること、抜歯後3ヶ月で吸収の2/3が生じ、残りの1/3の吸収は1年ほどかけて生じること、矯正的挺出は軟組織、硬組織の再建が可能な術式(非外科的処置)で、最低でも2㎜は挺出させ、組織成熟のためには12週ほど置かなければならないことを学びました。また、矯正を自分でやるにしても、矯正医に依頼するにしても密に連絡をとり、同じゴールを目指すことが大事であるとお聴きし納得しました。

 

(土屋嘉都彦 先生)

インプラントオーバーデンチャーといえども、全部床義歯の基礎知識は重要であること、最初に症例を選ぶなら側切歯部位に2本のインプラント埋入がよいこと、上顎のインプラントデンチャーはメリットが少ないことをわかりやすく教えていただき勉強になりました。

————————————————–

九州インプラント研究会 認定講習会 感想  第4回2021.7.17~2021.7.18

第27期 肘井啓一郎 ひじい歯科医院(熊本県熊本市東区)

 

私事ですが、人生100年時代のちょうど中間地点を過ぎてしまいました。今年51歳。いままでやってなかったことが山積です。やっと経済的にも医院の運営的にも余裕が出てきたので、念願のKIRGを受講することにしました。知的好奇心は脳を活性化させると思いますし、開業歯科医の存在意義は患者さんのあらゆるニーズにオールマイティに対応する事だと思いますし、自分の為にも医院の為にもなると思ってます。

研修会の初日の自己紹介の際の皆様の話を聞いていますと、KIRGを受講される諸先生方は、KIRGの研修会にいろんな思いをもって参加されていると感じてます。

コロナで休止していたKIRGが復活できて感謝してます。講師の先生方、スタッフの皆様、準備やご配慮どうもありがとうございます。

 

第四回の研修内容について簡単な感想を書きます。

和泉雄一先生:再生療法の最先端の症例を閲覧できました。現在、存在する再生材料を用いれば高い効果は期待できるが、そのための患者管理や手技のクオリティの高さが必須だと思った。当医院ではチャージの問題もあり再生療法はまだ取り組んでないが、今後、取り入れていきたいと思った。

永井省二先生:咬合にはいろんな説があるが、その根拠となるエビデンスの整理がされてあり非常に参考になります。この咬合の講演内容は自分的には永久保存版です。

横田誠先生:バイオフィルムにより炎症が起き、動揺が起きる(TypeA)その動揺を消す治療を歯周基本治療で行う。バイオフィルムによらない炎症で動揺が起きる事をTypeBとして、TypeBの治療方法の一つとしてPSDを用いる治療方法の紹介があった。歯周治療としてはかなり個性的な解釈だと思いますが、オープンな環境でいろんな研究者によって研究されていく分野なので大事だと思いました。

飯島俊一先生:メーカー製インプラントではできないことは、自己で開発するという達人レベル。守破離の「離」です。日本人の骨の薄さに対応した細いインプラントであるが接合様式や強度に妥協がない。フィクスチャーのカスタムメイドも今後の選択肢になりそうだと感じました。

小笠原一行先生:抜歯後3カ月で吸収の2/3が生じる 矯正は避けては通れないテクニックの一つ 若年者のインプラント治療は特に予後の不安定さがあるので、治療後のやり替えは必ずあると思っておく。プロとして審査診断で見極めし、可能か不可能かはハッキリと伝える。

土屋嘉都彦先生:無歯顎者は上顎FD、下顎IODs(二本)はファーストチョイスですが、現実問題、患者さんのチャージの問題をクリアできるなら固定式補綴を選ぶ方がよさそうとのことした。ただし、いままで上下FDだった方は義歯に慣れているのでIODでもよいと思われる。インプラント治療は高額で長期にわたる治療になりますが、症例の閲覧で患者さんそれぞれにいろんなストーリーがあり患者さんに真摯に対応されていると思いますし、その部分も学びになりました。

 

KIRG100時間コースを受けて、その後の自分の行動が大事だと思います。インプラント関連の知識を習得する為の手段としてKIRGの仕組みを活用させていただきたいと思います。

今後ともよろしくお願いします。

————————————————–

2021年度第27回日本口腔インプラント学会認定講習会第4回を受講して

第27期 小牧憲明 こまき歯科医院(長崎県五島市)

 

自己紹介でも申し上げましたが、60歳を目前にしてこの講習会に参加させていただいております。矯正畑で育ったものですから、一般治療に加えて顎変形症なども手がけ、それなりに幅広く地域医療に貢献してきたつもりでした。しかし、何かが足りない、せっかく歯科医師になったのだからまだ取り組める分野があるはずだという思いで、六十の手習いではないですが、今回この講習会に参加させていただきました。

コロナ禍のため当初からリモートでの参加ですが、何十年ぶりかの、まとまった座学に、頭が十分ついていけてないというのが正直なところでしょうか。しかし、色々な分野の先生の講義を聞いていると、今まで自分がやってきた臨床を再検証するいいきっかけにもなり、非常に有意義な時間を過ごさせていただいております。

第4回の感想をとのことですので、簡単に記させていただきます。

1日目、和泉雄一先生には「歯科領域の再生治療最前線」と題して講義していただきました。GTR、EMDからリグロスまで、最前線の治療法をご教示いただき、使えなくても、知識として持っておくことの大切さを痛感しました。

永井省二先生には「インプラント治療に必要な咬合の基礎知識」と題して講義していただきました。咬合の基礎知識からインプラントに対する咬合付与の注意点、顎関節や顎位、体位との関係など、幅広い内容をご教示いただきました。広い視野と知識をもって咬合関係を調整して行く事の大切さを学びました。

横田誠先生には「歯根膜で考える咬合性外傷と予後診断法」と題して講義していただきました。歯周病に対する考え方の変遷から、難治性歯周病、歯牙動揺、セメント質剥離、PSS、PSDまで幅広い知識をご教示いただきました。今まで歯周治療をしてきて疑問に思っていた事の解決につながりました。

澤瀬隆先生には学会のケースプレゼンテーション試験についての説明をしていただきました。準備しておかなければいけない資料、ルールがあり、先立って対応しておく必要性を感じました。

その後、受講生の古川先生がケースプレゼンテーションを行いました。難易度の高い症例でしたが、研究会会員の先生方からは厳しい講評もありました。このような歯に衣着せぬ議論をできるところが、この研究会のいいところなのではないかと感じました。

2日目、飯島俊一先生には「インプラント補綴 種類と製作法(CAD/CAM)」と題して講義していただきました。インプラント体の表面性状の違い、マイクロギャプを防ぐ為の口腔内接着法を含めた独自のインプラントの開発などを、前回に引き続き、様々な症例を交えてご教示いただきました。理にかなっており、とても興味を惹かれました。

小笠原一行先生には、「インプラントと矯正治療」と題して講義していただきました。矯正治療とインプラント治療をうまく組みあせた治療計画を立てていて、矯正畑の私としては、是非とも取り組んでみたい分野であると共感いたしました。

土屋嘉都彦先生には「インプラントオーバデンチャー」と題して講義していただきました。義歯の安定の一助になるというような安易なものではなく、義歯作成のノウハウも十分持ち合わせた上で、IODは行う必要があることを再認識させられました。

色々な分野の講義が目白押しで、頭に入れなければならない知識量が膨大ですが、折り返し地点までこぎつけましたので、後半戦もなんとか頑張りたいと考えております。最後になりましたが、コロナ禍、この講習会を支えていただいている研究会会員の先生方、事務局の方々に感謝申し上げ、感想寄稿とさせていただきます。

 

 

関連記事