2025年度第31期認定講習会 第6回感想

第6回認定講習会 受講感想文
第31期 加来 涼太(加来歯科 大分県)

●インプラント周囲炎の予防とメインテナンスおよびリカバリー 松井孝道先生
インプラント周囲炎の発生機序から統計データ、治療法をすべてエビデンスに基づいて論理的に説 明してくださいました。インプラント周囲炎の治療法は様々な先生方によって異なる印象でした が、これまでの情報が整理でき、今後の周囲炎の治療はさることながら、予防にも繋がる知識 だったと思います。またそのエビデンスを踏まえた松井先生ご自身の臨床経験も見せていただ き、大変勉強になりました。ここ数年の最新の論文も紹介していただき、毎年講義をアップデー トしてくださっていることもありがたかったです。

●抜歯即時埋入、即時荷重の臨床 林揚春先生
すべてがまさに目から鱗でした。骨が足りなければGBRする、シュナイダー膜を穿孔しないよう 注意する、様々な私にとっての当たり前が覆されました。ボーンロスを懸念していた私にとって、 抜歯即時埋入・即時荷重に対する抵抗感が軽減されました。ルートメンブレンテクニックの実際 の手技を拝見できたことも大変勉強になりました。この選択肢を持つことで特に審美面や治療期 間の面で患者満足度の高い治療を提供することができるため、先生のテクニックを近々実践して みようと思います。

●アンキロス(プラットフォームスイッチング)の基本と臨床 竹田博文先生
長くにわたり世界中の臨床家に用いられてきたアンキロスインプラントの歴史、特徴、症例など 学ばせていただきました。プラットフォームスイッチングという点以外にも、皮質骨のボーンロス を防ぐために懸念すべきはマイクロギャップのサイズではなくマイクロムーブメントであることか ら、テーパーコネクションの角度を重視したアンキロスインプラントが審美的にも有利であること も理解できました。アンキロスインプラントを知ることで他メーカーの構造への見方も変わりま した。

●インプラントオーバーデンチャー 土屋嘉都彦先生
まずMcGillコンセンサスを大前提とした上で、様々なエビデンスからの知見、全部床、部分床義 歯との比較、実際の先生の臨床実感を教えていただきました。IODの上下顎での活用の違い、埋入 位置についての知見は特に印象に残りました。確かに経済的理由で最終的にIODという選択肢に行 き着いてしまう患者もいるかもしれませんが、義歯に不満を抱いているが義歯しか選択肢がない 患者にとっては、今回の知識を活かせば少ないインプラント本数でも得られるメリットは大きい と感じました。まずは義歯についての知見を広げていきたいです。

●人生100歳時代のエビデンスに基づいた歯周咬合学について 横田誠先生
歯周基本治療によって治せる歯周病、ポケットを形成すれば挺出する、A型B型歯周病、仮説を立 てて自ら結果を出す姿勢は素晴らしいと感銘しました。いずれも臨床に落とし込める研究で、先 生の歯周病学への情熱に心を打たれました。自院で動揺を伴う歯周病患者へ歯周外科治療をする ことも多いですが、永久固定として侵襲的な連冠を選択することが多かったです。非侵襲性可轍式 パーシャルハイカスについてもっと詳しく教えていただきたかったですが、先生の功績をあの短時 間では足りず、また改めて習いたいです。鹿児島大学出身として、先生の行なってきた研究を私の 臨床にも活用していきたいと思います。

●インプラント適応症拡大のための組織増生:難症例から審美部位まで 勝山英明先生
まず日本は先進国の中でもインプラント普及率は圧倒的に低いことに少しショックを受けまし た。世界的に著名な勝山先生ならではの見解も勉強になりました。口唇口蓋裂、多数歯先天欠 如、著しく骨幅の小さい前歯部へのGBR、交通事故による大きな外傷と、明らかな難症例へのイ ンプラント治療のアプローチを見せていただきました。矯正治療を含めた包括的な治療計画の企 て方も是非見習いたいです。予知性の高いブロック骨移植という選択肢も実践したいと思いました。


第6回認定講習会 受講感想文
第31期 義村 健介(よしむら歯科・小児歯科医院 鹿児島県)

「インプラント周囲炎の予防とメンテナンスおよびリカバリー」 松井 孝道先生
インプラント周囲炎について、リスク因子から始まり、診断基準そして具体的な治療法につてお話いただいた。今まで先生が経験された多数の治療法、機材の効果や、気腫を起こしにくいエアアブレーションのやり方などを御教授いただき、経験が少ない私にとって非常に勉強になった。

「抜歯即時埋入、即時荷重の臨床」 林 揚春先生
抜歯即時埋入、即時荷重そして、ボーンメンブレンなどについて実際の症例を交えて解説していただいた。かなり高度なテクニックだったが、従来の2回法と比較して、治療中の患者のQOLの低下を防ぐことができるので、是非とも習得したいと感じた。また、初期固定の評価のISQ値の測定などすぐにできることは導入しようと思う。

「アンキロス(プラットフォームスイッチング)の基本と臨床」 竹田 博文先生
現在主流となっている、インプラント-アバットメント接合部の、プラットフォームスイッチングと、コニカルシール形態の先駆けであるアンキロスインプラントの特徴を、様々なケースに対応して学ぶことができた。特に、接合部のサイズが1種類で症例に適したアバットメントの選択ができる点が非常に便利であると感じた。

「インプラントオーバーデンチャー」 土屋 嘉都彦 先生
IODとFD、PDの比較を患者の満足度を統計的なデータに基づき示されていて、非常に興味深い内容だった。特にショートデンタルアーチにくらべて大臼歯欠損にRPDを入れるメリットが少ないことや、十分に骨がある上顎の無歯顎では、FDとIODでは患者の満足度があまり変わらないことなどは、経験上なんとなく感じていたことがデータで示されて納得することができた。
IODが本当に必要な適応を見極め、何より義歯の制作に精通することが重要であると痛感した。

「人生百年時代におけるエビデンスに基づいた歯周咬合学について」 横田 誠先生
先生の長年にわたる臨床と研究から、タイプA、Bの2つに歯周病を分類され、普段私たちが苦労するタイプBの歯周病に対して、アウタースプリントによって咬合力をコントロールするハイカスPSDは、患者のQOLを低下することのない非常に有効的な治療法だと思い、今後深く勉強したいと感じた。

「インプラント適応症拡大のための組織増生:難症例から審美部位まで」 勝山 英明先生
組織増生が必要な目的は解剖学的な制限や、審美回復など様々で、それぞれの状況においての診断や術式の選択などを詳細に学ぶことが出来た。単に診断して、術式を選択するだけでなく、その治療で起こり得る今後の事象まで、術前の計画が非常に細かく自分の診断、治療計画の甘さを痛感した。

松井孝道先生「インプラント周囲炎の予防」

林揚春先生「抜歯即時埋入、即時荷重の臨床」

竹田博文先生「アンキロスの基本と臨床」

土屋嘉都彦先生「インプラントオーバーデンチャー」

横田誠先生「人生100歳時代のエビデンスに基づいた歯周咬合学について」

 

 

勝山英明先生(WEB講義)「インプラント適応症拡大のための組織増生」

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