平成29年度 公益社団法人日本口腔インプラント学会 認定講習会第4回 報告

KIRG100時間コース    2017年 7月15日、16日

担当 KIRG23期 かく歯科クリニック 加來 伸一郎

新幹線から市電に乗り、添島歯科医院まで徒歩で約5分ほどですが、ついた頃には汗ばむくらいの快晴に恵まれた両日でした。

第一日目は児玉利朗先生と松浦正朗教授によるソフトティッシュマネージメントとハードティッシュマネージメントの講義と豚顎骨を使用しての実習でした。

ソフトティッシュマネージメントはインプラント治療だけでなく天然歯にも応用できるため、練習の後にすぐにでも実践していきたいと思いました。

その後に受講生第一号 名和佳宣先生のケースプレゼンテーションがありました。座長は飯島俊一先生で会員の諸先生方からも、厳しくも愛のあるご指導がありました。実は私も名和先生と同じく、業者や知り合いDrからBLTさえ持っておけば何にでも対応できると言われ、導入した一人です。

患者さん背景、口腔内環境、その他色々なことを考察したうえでインプラントシステムの選択を行わなければならないことを痛感致しました。

夜の懇親会でも歯科談義はつきることなく楽しい一時を過ごすことができました。

第二日目は飯島俊一先生によるインプラント補綴 種類と製作法CAD CAMでした。この講義のあとには初試みで試験があると告げられ緊張しながらの聴講となりました。長期安定を得るためには上部構造の特性を熟知し、インプラント体と同じく症例によってシステムの選択をしなければならないと感じました。

午後からはサージカルガイドとシュミレーションについて竹下文隆先生より、講義のあとパノラマのトレースで2次元実習、simplantソフトを使用して3次元実習を行いました。

最後は森永大作先生による術後フォローアップ・審査項目・プロトコールの講義がありました。インプラント治療後の合併症を回避するために様々な診査を行い早期発見、早期治療を行い、DHと共に患者側のモチベーションをいかに維持していくかがインプラント残存率を伸ばすことに繋がり、カルテ記載のみでなくプロトコールがあることによりスタッフとの情報共有、また自分自身の症例の整理にも役立つと感じました。

早いもので次回から後半戦のスタートです。これからもまだまだ暑い日が続きますが、体調管理に努めて今後の講習も集中してしっかり吸収していきたいと思います。

講師の先生方、今後ともよろしくお願い致します。

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認定講習会第4回目(7月15・16日)感想

KIRG23期生 森本大輔

今回の日程も熊本は好天に恵まれ、午前中からじわりと忍び寄る火の国特有!?の蒸し暑さの気配を感じながら、第4回目の講習会の講義開始となりまた。

これまで、系統的に構成されたインプラントの講義を受けた経験がなく、今回、偶然のきっかけで以前より聞き知ったKIRG100時間コースを受講する機会に恵まれたのは私にとって大変な幸運でした。毎回の講義では、霧の中を手探りで歩いていた私を多彩な講師の先生方が、的確にナビゲートしていただいた上、その霧を振り払ってまでいただいているとった印象で、大変有意義な講習になっていると実感しています。

1日目、児玉利朗先生による講義においては、インプラントの安定のための軟組織の取り扱いについて、最初の切開線の設定位置に始まりフルシックネスフラップ、パーシャルシックネスフラップ等の取り扱いはもちろん、最後の縫合の刺入点に至るまで理論と実習を交え、事細かに配慮すべき事項を盛りだくさんに御講義頂きました。

午後、松浦正朗先生によるハードティッシュのマネジメントについての講義では、PIEZOSURGERYを使った実習に引き続き、日頃私にとってあまりなじみのない“論文”を読み解きながら理解を深めていくもので非常に興味いものでした。

2日目、飯島俊一先生によるインプラント上部構造の講義は、内容豊富かつ大変ボリュームがあり、講義の中だけではほぼほぼ吸収しきれていない状況ながら、自分の中に奇妙な自信と、同時に大きな不安が頭をもたげていることに気が付きます。

午後、竹下文隆先生による講義は、私自身久しぶりとなるパノラマトレースで、いかにあいまいな知識でもって日頃臨床にあったっていたのかを再認識させられるものでした。

それに続く、森永大作先生の講義では、インプラント治療において抑えておくべき多くのチェック項目を目の当たりにし、改めて「ちゃんと」治療に当たらなければいけないと気を引き締まるものとなりました。

今回が100時間コースの早くも折り返し地点となりました。その情報量の多さゆえに未だ処理しきれていない部分が多くあることも否めませんが、今一度、気を引き締めて取り組んでいきたいと思います。後半戦もどうぞよろしくお願いいたします。

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平成29年度KIRG 講習第4回を受講して

23期 伊東歯科口腔病院 野田一樹

7月は暑い日が続きますが、毎回講師の先生方と受講生のこの講習会への熱気に圧倒されています。そして自分もこのような講習会を受けることができて光栄に思います。

  • ソフトティッシュマネージメント実習 児玉先生

軟組織のマネージメントの重要性、取り扱い方の難しさを学びました。外科処置にあたり今までなんとなく使い分けていた付着歯肉と歯槽粘膜、組織学的なことから勉強することで改めて曖昧な切開線ではいけないと痛感しました。角化歯肉の幅や骨欠損を考慮してしっかりとした診断の上で治療計画を立てることが重要だと感じました。何度か豚骨実習の経験は何度かありましたが、毎回、粘膜は繊細に取り扱わないといけないことを実感します。今回は骨膜減張切開、部分層弁の形成、移植片の採取など難易度の高い手技をレクチャーしていただき、実際の臨床でも少しでもうまく扱えるように精進したいと思いました。

  • ハードティッシュマネージメント実習 松浦先生

松浦先生には骨移植やサイナスリフトなどについて論文に基づいた根拠ある講義をしていただきました。骨移植については当院でも臨床に立ち会う機会が多く、当院では自家骨移植しか行っていないのですが、今回の講義を聞いて改めて自家骨が最良の材料であるとわかりました。また、骨移植に当たっても軟組織の取り扱いが鍵になってきて、やはりいろんな知識、技術が必要だと思いました。ピエゾサージェリーを用いた実習では骨の硬さや性状などを実感できました。インプラントするに当たって、自家骨の採取、移植は必ず習得しなければならない手技ですのでさらに理解を深めようと思います。

  • ケースプレゼンテーション

今回初めて受講生のケースプレゼンテーションをきかせていただきました。

講師の先生方からは多少厳しい意見もありましたが、自分からみればレベルの高い素晴らしい発表でした。名和先生お疲れさまでした。自分も良い治療とプレゼンテーションができるように頑張らなければいけないと思いました。

  • インプラント補綴 種類と製作法CADCAM 飯島先生

飯島先生におかれましては、まず経験されているインプラントの本数に驚愕いたします。その経験からくるインプラント補綴のトラブルとその対応、起こさないようにするための治療計画などの話は説得力のあるものでした。材料や技術などは日々進歩しており、最近主流になりつつあるジルコニアの補綴、システムについても、自分の知識が追いついておらず反省しております。やはり補綴に関してはまずは知識がないと選択肢は広がらないと思いますので、日頃から勉強する姿勢が大事だと思いました。

  • サージカルガイドとシミュレーション 竹下先生

パノラマのトレースからSIMPLANTソフトでのシミュレーションの実習をさせていただきました。パノラマでもCTでも、よく見ると解剖学的構造など日頃見落としていることがあるなと実感しました。インプラント埋入の計画を立てるに当たって、画像データをしっかりみて、イメージすることの重要性を学ぶことができました。安全な手術を執り行うに当たって、サージカルガイドの使用は必須であると思いますので、使い方をマスターできるように勉強したいと思います。

  • 診査項目 プロトコール 森永先生

インプラントを長期間維持するためにはいかにインプラント周囲炎を起こさず周囲組織の健康管理をしていくかが重要になってきますが、そのための診査項目について学びました。当院でインプラント手術時や定期検診時にチェックしていた項目がどのような意味を持つのか改めて考えることができました。周囲炎を起こさないためには、メインテナンス時の早期発見が鍵になってくると思いますので、日頃から重要な診査項目、兆候を見落とさずに確認していきたいと思います。

以上、簡単ではありますがご報告いたします。大変貴重な2日間でした。次回以降も充実した時間になることを楽しみにしております。

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