2022年度 認定講習会第7回 報告

2022年度 九州インプラント研究会 第7回講習会を終えて

第28期 秋浦 覚視 国立病院機構 嬉野医療センター(佐賀県嬉野市)

新型コロナウイルス感染症に対する規制緩和が国際的に広がりを見せた昨今、前回、前々回とWEB開催となっていた講習会が、久しぶりに現地開催となり、ワクワクを胸に眠い目をこすりながら、高速を駆ってきた初日の朝。見慣れてきた同期の先生方の姿に安心を覚えます。講師の先生方、事務局のスタッフの方々、早朝からのご準備、いつも有難うございます。

1日目 

1講義目は和泉雄一先生による、歯科領域の再生治療最前線。

再生材料には世代があり、歯科は現在第4世代、歯根膜シートの作成まで進んでいること、EMDとFGFの違いと適応症例や術式について、それらが歯周治療のどの段階で用いられるのか、他の再生治療との併用、応用はどうすればよいのか、エビデンスとともにわかりやすく整理しご教授いただきました。Decision Tree や動画付きのMISTは日々の診療ですぐにでも活かせる具体的な内容で、とても勉強になりました。オルガノイドの話もそうですが、インプラントの講習会で広範囲のお話が聞けることの有り難さと、インプラントの周辺知識の幅広さ、奥深さを感じます。

2講義目は児玉利朗先生による、ソケットプリザベーション・ソケットマネージメント。

普段何気なく抜歯し、テルプラグを填入、縫合していますが、その一つ一つの意味、考えるべき勘所とその応用が凝縮された講義でした。 テルプラグを入れる位置、縫合開始の位置等も考えればそこしかないという場所なのに、今までのどうして気づかなかったのだろうと感心しきりでした。また、抜歯後の創部の浄化で組織が一旦退縮・陥凹するのも、時系列で示していただき合点がいきました。前回のテルダーミスでの付着歯肉の増大術の際にも感じましたが、一見大変そうな症例を比較的損傷少なく知識と技術で対応されるところがスマートです。

3講義目は西村正宏先生による、骨増生材料の現状と課題。

多様な骨増生材料の特徴と、本邦で治療適応が認可された材料のそれぞれの違いや使い分けを基礎からわかりやすくご教示いただきました。サイトランスがなぜ体積維持されにくいのか、β-TCPとHAPの違い、ボナークがなぜスポンジ状なのか、多くの疑問が解決されました。自院で使っているPRFは、ガラス管ではないので放置すると溶けていましたが、この疑問も解決しました。今後に生きる、とても身になる講義でした。

2日目

1講義目は土屋先生による、インプラントオーバーデンチャーについて。

想像以上にトラブルが多いこと、メインテナンスが細かく必要なことに驚きました。費用的な面でボーンアンカードブリッジより有利で、固定、維持源のある義歯というイメージでしたので、今回の講義を受ける前までは、もっと気軽に適応症例を増やせる感覚でした。咀嚼能率も総義歯と大きくは変わらず、満足度も変わらない。総義歯でどうしても満足できない患者さん、かつ費用的問題がある方に適応するべきだという明確な基準を聞けて、僕はとても運がいいと感じました。

2講義目は小笠原一行先生による、インプラントと矯正治療。

抜歯前の矯正的挺出による骨の形成促進、牽引方向を工夫することで、単純な抜歯即時埋入や抜歯後埋入よりも審美的で軟組織にも骨にも余裕がある処置が可能になる。クラウンレングスニングだけではない、歯の牽引の有用性を教えて下さいました。

3講義目は松井孝道先生による、インプラント周囲炎予防とメインテナンスおよびリカバリー。

まさか、インプラント周囲炎がこんなPの再生療法のように改善するとは。光殺菌+β-TCPアブレーション+再生療法の再生療法の破壊力を目の当たりにして、驚きを隠せませんでした。光殺菌とハンドスケーラーによる長期ケアでの成績にもただただ脱帽でした。せっかく一生懸命に埋入して、お金をもらったもの。維持、回復をさせる術を身に着けなければと感じました。

再生治療に矯正、リカバリーと、今回も盛り沢山な内容で、自院の慣習に流されていると気づかない細かなポイント、ヒントを沢山いただきました。最初は未経験だったインプラントも、今では数例の経験を経て、今回の講習会の意味をよりひしひしと感じる日々です。とうとう次回は最終回。気合を入れて臨みます。


第28期7回目の講習会の受講を終えて

第28期 久原史彬  あまの歯科医院(佐賀県杵島郡白石町)

2022年10月15日~16日にかけて第7回の認定講習会を受講させていただきました。

今回もまた新型コロナウィルスの感染予防対策ということで、事前の抗原検査があり安心して認定講習会に臨むことができました。

講習会の度にして頂く講師の先生方やスタッフの皆様ありがとうございました。

1日目午前中は和泉先生による歯科領域における再生医療についての講義でした。

フラップデザインを小さくし最小侵襲で行う歯科歯周外科(MIST)が通常どおりのフラップデザインと比較して差がない治療成績であるということで、日頃の臨床に取り入れていきたいと思いました。

午後は児玉先生によるソケットプリザベーションについての講義でした。

ソケットプリザベーションというと骨補填材のイメージが強かったのですが、テルプラグやテルダーミスといった材料を用いて軟組織や骨の再生を促すといった方法でした。抜歯後のテルプラグの具体的な使い方や理想的な縫合の仕方なども詳しく解説してくださり非常に勉強になりました。

西村先生の講義は骨造成の材料についての講義でした。

たくさんの種類がある遮断膜や骨補填材料についての性質などを細かく教えていただきました。また実際の臨床でインプラント治療において使用可能な補填材についても詳しく解説してくださり、今後の臨床に役立てていきたいと思いました。

2日目午前は土屋先生によるインプラントオーバーデンチャーについての講義でした。

インプラントオーバーデンチャーの設計や製作法について、エビデンスや症例を交えながらお話いただきました。インプラントオーバーデンチャーは想像しているほど簡単な治療法ではなく、骨量の不足による埋入の規制や上顎のフィクスチャーのロスト率が通常のインプラントと比較して高いなどといったリスクもあるため、注意しなければならないことが分かりました。

小笠原先生の講義ではインプラント治療と矯正治療の重要性について教えていただきました。抜歯後では3ヶ月で吸収の2/3が生じ、残りの1/3の吸収は1年ほどかけて生じるため、抜歯後の骨の状態の変化にも注意深く見ておく必要があると思いました。

また矯正医に矯正を依頼するにしても密に連絡をとり、食い違いがないようにお互いがそれぞれの分野に関してのある程度の知識が必要だと感じました。

午後の松井先生の講義ではインプラント歯周炎の予防とメンテナンスおよびリカバリーについての講義でした。インプラント歯周炎と言われると治らないイメージが強かったのですが、非外科的治療を根気よく行っていけば6割近くも安定する可能性があるということに驚かされました。

また、耐性菌を作らない光殺菌という治療法も大変興味深く今後機会があれば使ってみたいと思いました。

今回の講習会も大変充実した内容で、たくさんのことを学ぶことができた講習会でした。

講習会も残すところあと1回になってしまいましたが、しっかり勉強して日々の臨床に生かせるよう励んでいきたいと思います。


2022年度 九州インプラント研究会 第6回講習会の感想

第28期 岡村 俊之 サンフラワーデンタルクリニック 院長(熊本市)  

2022年10月15日(土)16日(日)に熊本パレアにて第6回目の講習会がありました。

15日(土)、午前中は鹿児島大学で歯周病を教えて頂いた和泉先生の話でした。

最新の歯周再生療法の話で、ミクロな話から臨床の話まで、大変ためになる話でした。

午後からの児玉先生の話は、ソケットプリザベーションの話で、当院でも行っている治療でもあり、今後の治療にも参考になる内容でした。

その後の西村先生の話は、骨造成とその材料の話で、自家骨の採集の方法から注意点、骨補補填材の歴史から現状までを丁寧に説明して頂きました。

16日(日)、最初に土屋先生のインプラントデンチャーの話で、治療における設計や注意点を踏まえ、多くの症例の写真を見せて頂き、大変勉強になりました。

次に小笠原先生の話で、インプラントと矯正を絡めた治療の話で、それぞれの治療のタイミングを豊富な症例を閲覧しながら、説明して頂きました。

午後からは松井先生の話で、インプラント周囲炎の予防とリカバリーで非外科での長期によるデブライドメントや洗浄を行い、粘膜の変化の観察の大切さ、外科での注意点などもわかりやすく説明して頂きました。

今回も2日間、朝から晩まで充実した講義をみっちりとして頂きました。明日からの診療に役立てればと思います。

和泉雄一先生講義
児玉利朗先生講義
質疑応答
西村正宏先生講義
鈴木純子先生ケースプレゼンテーション
原俊浩先生からの質問
渡部泰先生ケースプレゼンテーション
土屋嘉都彦先生講義
質疑応答

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