2019年度 公益社団法人日本口腔インプラント学会 認定講習会第7回 報告

認定講習会 第7回報告書

KIRG100時間コース 25期生 浅野史朗

新地ハロー歯科診療所(熊本県熊本市)

第7回目を迎え早いもので講習会も残すところあと2回となりましたが、講義を受講する度に新しい知識や最新の情報を知ることができ学びの多い時間を過ごしています。また、懇親会の際は講師の先生方や受講生同士との間で活発な意見・情報交換が行われ益々親睦が深まっています。

 

10月19日 (1日目)

 

・和泉雄一先生 歯科領域の再生治療最前線

 

歯周治療の変遷、骨移植術・歯周組織再生治療の歴史、歯周組織再生治療の術式や評価基準、様々な臨床例や研究内容について幅広く講義がありました。GTR法(guided tissue regeneration)やEMD®︎(enamel matrix derivative)、リグロス®︎(rhFGF-2)の特性を症例や実験結果を通して、理解することができました。歯周組織再生治療において良好な結果を得るためには適切な基本治療を行い、適応を十分に検討して適切な処置を行う事が大切であることがわかりました。また、歯周組織の長期安定を得るために、メインテナンスが重要であることを学びました。

 

・勝山英明先生 リッジオーグメンテイション 審美的部位へのアプローチ

 

審美領域のインプラント治療について、GBR法(guided bone regeneration)を中心に実際の臨床例を交えて講義がありました。インプラントを補綴学的に適切な位置に埋入し審美的および機能的に安定させるために、骨に対するアプローチが重要であることを改めて認識する事が出来ました。審美領域においてインプラント治療を行う際は、頭蓋顔面の晩期成長に伴うインプラントと隣存歯との切縁レベルや軟組織辺縁に不揃いが生じる可能性があるインフラオクルージョンを生じる可能性を患者さんに説明する事が大切であることを学びました。

 

・横田誠先生 歯根膜で考える咬合性外傷と予後診断法

 

咀嚼・咬合性外傷を中心に研究内容を交えて講義がありました。インプラントと天然歯を非侵襲的に連結するPSS(Perio Scrum Splint)が咬合力の分散に有効であることを臨床例を通して学びました。細菌感染症に対する歯周基本治療を行い動揺・歯周ポケットのレスポンス反応を確認し、臼歯部の咬合を管理することが大切であることを再認識しました。

 

10月20日(2日目)

 

・土屋直行先生 インプラントと矯正治療

 

矯正治療においてインプラントを使用した幅広い年代の臨床例を提示しながら講義がありました。インプラント治療を含めた歯科治療全般において歯列不正は、咬合や歯周組織に様々な問題を引き起こす為に歯牙の位置異常を改善することがより高いレベルの治療結果につながることがわかりました。口腔内環境を整えることが、包括的な歯科治療を行う上で大切なことであると再認識することができました。

 

・西村正宏先生 骨増生材料の現状と課題

 

顎骨造成の必要性とリスク、骨補填材・成長因子と血液濃縮液等について臨床症例や研究等を併せて講義がありました。顎骨増生を行う際に骨補填材の溶解性や吸収性メカニズムについて理解し、骨誘導能を持つ成長因子の性質や骨形成能を持つ各種移植細胞の効果を把握することが重要であることを学びました。インプラント治療において骨増生手術の第一選択は、自家骨移植とされているがドナーサイドの侵襲が問題となる為に骨補填材を併用することで有用性が発揮することがわかりました。

 

・小宮山彌太郎先生 ブローネマルクインプラントの基本と臨床

 

ブローネマルクインプラントの歴史や臨床例を交えて外科・補綴両方の観点から講義がありました。インプラントを長期間にわたり安定させるためには、力を考慮した治療計画の立案が重要であることを学びました。上部構造の損傷や周囲組織の破壊等の問題を防止するためには、精度が高く・強度に優れた上部構造のデザインやシステムの選択、定期診査をはじめとする患者の協力が大切であることを再認識しました。

 

 

講師の先生方には非常に充実した講義をして頂き、とても有意義な時間を過ごすことができました。歯科医師として正確な知識や技術の向上ができるように日々研鑽するのはもちろんのこと、人間として成長していけるように努力していきたいと思います。

認定講習会も次回で最後となりましたが、多く学び吸収できるように気を引き締めて臨みたいと思います。

講師の先生方や受講生の皆様、次回もよろしくお願いします。

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KIRG10月の感想文

織田祥太 伊東歯科口腔病院(熊本県熊本市)

和泉先生

組織再生療法の基礎知識から臨床応用まで幅広く学ぶことが出来ました。材料に頼らずに自分の知識、技術を向上させてより良い結果を得られるように頑張りたいと感じました。

 

土屋先生

矯正治療の知識、技術があると、歯科治療の幅が大きく広がり、補綴物、インプラント、口腔全体の長期安定に繋がると感じました。

 

西村先生

様々な人工骨材料に関して、細かいところまで教えて頂きました。可能な限り自家骨移植による骨再生を行う技術を身に付けたいと思いました。

 

横田先生

歯周病がプラークによるものだけではなく、セメント質にマイクロクラックが起こって進行するという考えは、臨床に直結する考え方でおもしろいと感じました。また、動揺度測定は手指感覚だけではなくペリオテストを使うべきであると思いました。

 

勝山先生

インプラント治療を行う上で、考えるべき細かい知識を教えて頂きました。特に成功したインプラントであっても、常にインフラオクルージョンを考えなければならないと思いました。

 

小宮山先生

インプラントの成功は、インプラントの種類ではなく術者の考えと細かい意識の方が重要であると仰られており、失敗しないためには今までに思っていた以上に細かいところまで意識を集中して処置に臨まなければならないと感じました。

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第7回講習会感想文

 

深水歯科医院(熊本県水俣市)   宮城 光志

 

25期の日本口腔インプラント学会認定講習会もあと2回となりました。とても濃密な講習会で本当にあっという間に時が過ぎていく感じがしています。

1日目は和泉先生より歯科領域の再生治療最前線というテーマでご講演いただきました。歯根膜由来細胞シートについては全くの初耳でここまで研究は進んでいるのだなと驚きました。

午後からは勝山先生にリッジオーグメンテーション審美的部位へのアプローチというテーマでご講演いただきました。骨造成については個人的に特に勉強したいと考えていたところでありとても参考になりました。審美部位の頬側には吸収することも見込んでインプラントの頬側に4mmあるくらい骨造成することやgrowth factorの種類について、インフラオクルージョンが女性やロングフェイスの人に多いなどとても勉強になりました。インフラオクルージョンや歯間離開の問題から、臨床では上部構造の再製が必要になる可能性を必ず説明するよう心がけようと思いました。

横田先生には歯根膜で考える咬合性外傷と予後診断法についてご講演いただきました。咬合由来の歯周炎の可能性と診断の仕方やPSS、PSDといった装置の有効性について学ばせていただきました。

2日目は土屋先生よりインプラントと矯正治療のテーマでご講演いただきました。全顎矯正については必要性を日々の臨床からよく感じているのですが、中々手を出しにくく専門医への紹介に頼っているのが現状です。インプラントにより固定原の確保が容易になり予知性の高い矯正治療ができるようになってきているため、自分もMTMくらいは自分で出来るようになりたいと思いました。

次に西村先生より骨増成材料の現状と課題というテーマでご講演いただきました。遮断膜や骨補填材料の種類について細かく教えていただきました。

最後に小宮山彌太郎先生よりブローネマルクインプラントの基本と臨床というテーマでご講演いただきました。個人的にはインターナルコネクションの方がいいと感じていたため、エクスターナルコネクションの利点について深く知ることができてとても勉強になりました。

講習会も残すところあと1回になってしまいましたが、しっかり勉強して日々の臨床に生かせるよう励んでいきたいと思います。

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第7回講習会感想文

圭介歯科・矯正歯科(熊本県荒尾市)   中村圭介

 

4月から始まった講習会も今月と来月の2回となりました。充実の内容が毎回目白押しで、毎回楽しみにしています。もう終わりかと思うと寂しいようなほっとしたような。

講義で興味深い話を聞き、その後の懇親会で講師の先生方にさらに興味深い話が聞けるのも、この講習会のいいところだと思います。

19日午前は和泉先生の歯科領域の再生治療前線という内容でした。日本国内で使用可能な歯周組織再生治療用の材料の紹介から、使用方法、また、最新の組織再生材料の臨床成績。未分化間葉系細胞の未来などの内容でした。臨床でまだ使用したことのない材料などもあり、興味深い内容でした。午後は勝山先生の審美領域でのリッジオーグメンテーションについてでした。外科処置による、審美領域の骨造成、インプラント埋入などの内容で、美しいケースのオンパレードでした。一つのゴールとして目指すべきものを提示していただきました。午後の2つめは横田先生の歯根膜で考える咬合性外傷と予後診断法という内容でした。歯周病には、感染症と咬合性のものがあり、本講義では、咬合性外傷によるセメント質の破壊をタイプB歯周炎として、これを中心に講義が展開していきました。これを歯周炎と呼ぶには違和感があったのですが、現在の教育現場で抜けている視点を歯周病に分類したのは興味深いと思いました。臨床上での難治症例がクリアになっていき、新たな視点で、症例の分析、診断に役立てることができそうな内容でした。

20日午前は土屋先生のインプラントと矯正治療という内容でした。自分も矯正を行うので、ここはやや安心して聞くことができました。治療計画に矯正治療を組み込むことができると、ゴールがより広がり、理想に近づけることができると思われます。次に西村先生の骨増生材料の現状と課題という内容でした。骨増生の基本から、イプラントのサイズによる成功率などを文献を元に考察。現在国内で骨補填材として認可されているサイトランスグラニュールの紹介。成長因子の現状と未来。などなど、充実の内容でした。

午後は小宮山先生のブローネンマルクインプラントの基本と臨床という内容でした。現在のインプラントのベースとなるブローネンマルクですが、日本での第一人者である小宮山先生による講義は、説得力のあるものでした。

今回の講習会の中で、何度も感じたことですが、それぞれのインプラントに歴史があり、コンセプトがあり、利点欠点があります。これですべて満足がいくというものは存在しておらず、それぞれの特徴を把握した上で、症例に合わせて選択していくことが肝要だと感じました 。しかし、実際には数種類のインプラントシステムを臨床上使用するのはコスト面で、不可能に近く、無駄も多くなります。結局、2-3種類の中から選ぶようになるのですが、今回の講義を通して現在の自分の臨床を深く考える機会となりました。又、新しいテクニックなども取り入れることができ、明日からの診療がより楽しみになりました。

少し早いですが、今回の講義をしていただいた講師陣の先生方にお礼を申し上げたいと思います。加えて、一緒に講義を受けた先生方と出会えて本当によかったです。ありがとうございました。

 

 

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