平成29年度 公益社団法人日本口腔インプラント学会 認定講習会第1回 報告

認定講習会第1回目感想         KIRG23期生 小幡歯科医院 小幡しおり

九州インプラント研究会の第一回目は、4月15、16日に行われました。初めて訪れた熊本は春にしては暑く、桜が散らずに残っていたことが印象的でした。一日目に行われた開会式では、KIRGの成り立ちや活動内容、専門医制度等のお話を聞くことが出来ました。名立たる会員の先生方のお話から、インプラント治療や患者さんの健康に対する真剣な気持ちが伝わり、受講生として身が引き締まる思いでした。
最初に松浦正朗先生からインプラントの歴史を学びました。口腔機能の再建の為にインプラントが考案され、機能性や生体適合性への要求がインプラントの形態や表面性状等に反映された結果、現在の形態になったことを知りました。また、インプラントや補綴装置の累積残存率の高さや、アレルギーの発症等に関する知識も文献から得られました。
午後は井出吉信先生が、口腔解剖を新たな視点から教えて下さいました。筋肉に見立てたユーティリティワックスをドライスカルに貼り付け、筋の起始・停止や走行等を色々な角度から確認しました。煩雑さ故に敬遠しがちな解剖も、井出先生の方法なら理解しやすく覚えやすいな、と思いました。患者さんへの説明にも使わせて頂きます。
次の講義は湯浅賢治先生による画像診断で、X線に関する知識や規格的な撮影の仕方を教わりました。読影で悩みがちな下顎管の上壁や上顎洞についても、様々な症例や画像を用いて解説して頂きました。障害陰影を軽減する撮影法も実践してみます。また、実家の医院でCTを導入する予定なので、教わったことを最大限に活用したいです。
講義終了後に懇親会が行われました。周りがベテランの先生方ばかりで恐縮する気持ちもありましたが、皆様が気さくに話して下さったので楽しく過ごせました。他の勉強会で一緒だった先生と再会したり、親が昔お世話になった先生とお会いしたりと、KIRGには不思議なご縁を感じました。来月の懇親会も楽しみです。
二日目の朝の講義は和泉雄一先生の解剖・細菌・免疫でした。生化学等の知識があまり無かった為、上手く臨床と繋がらず、理解出来ない箇所もありました。歯周病と糖尿病との関連は患者さんも気になる所だと思うので、きちんと説明出来るようにしておきたいです。
次は井上富雄先生による生理学の講義でした。各々の反射や末梢神経の損傷と、咀嚼筋活動との関係、ブラキシズム等について教わりました。また、セロトニンと運動制御についても学びました。理解が追い付かない所もあったので、勉強し直します。
午後の最初の講義は、澤瀬隆先生による専門医制度とケースプレゼンテーションについてでした。口腔内写真やX線写真の撮り方にも細かい規定があり、規格性を求められると知りました。また、スライドやポスターの構成や規定、発表時に必要な技術を教わりました。専門医への道のりは厳しいですが、技術を身につけて地道に頑張ろうと思います。
最後に伊東隆利先生による医療安全の講義を受けました。インプラント治療の難しさを、口腔内の問題や全身疾患等の例を挙げて説明して頂きました。また、治療全般に関わる清潔操作や滅菌の方法を、伊東歯科口腔病院を例に教わりました。11月までに実際に病院を見学させて頂いて、更に具体的に学びたいと思います。
今回初めてインプラントの勉強会に参加しましたが、インプラント以外にも勉強すべきことが沢山あることがわかりました。豊富な知識と高度な技術を身につける為に、受講生の皆様と一緒に頑張っていきたいと思います。今後とも宜しくご指導下さいますようお願い申し上げます。

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KIRG 初回を終えて

KIRG23期 ポートスクエア歯科クリニック 西村逸郎

4月15日、16日にKIRG第23期研修会が行われました。昨年の震災からちょうど一年経った熊本での開催でありましたが街には活気が戻り、また再び歴史ある熊本デンタルフォーラムで受講することができ、大変嬉しく感じます。

初日の午前中は松浦正朗先生によるインプラント概論としてインプラントの歴史、種類、表面性状についてお話しいただきました。インプラントがなぜ現在のような形状とるに至ったかを紐解くことができ、また今まで大まかにしか理解していなかった表面性状についても理解を深めることができました。
また午後には母校の学長でもあり、学生時代大変お世話になった井出吉信先生にインプラントにおける口腔解剖についてお話しいただきました。シェーデルとワックスを使った視覚的に非常に分かりやすい講義をしていただき、学生だった当時の授業の記憶が蘇り懐かしい感覚を覚えました。
さらに湯浅賢治先生による画像診断についても講義していただき、読影方法や疾患の鑑別など日常臨床で疑問に思う部分や理解し難い部分を丁寧に解説していただきました。インプラントのみならずすべての診療にとって役立つ講義であったと感じております。

二日目は澤瀬隆先生によるプレゼンテーションの進め方についてお話しいただき、ケースプレゼンテーションを通じて資料採集の必要性や、客観的に自らの診療を振り返ることの重要性を学ぶことができました。
またインプラントにおける口腔感覚情報について井上富雄先生に講義していただきました。普段見落としがちな咀嚼運動とそれにまつわる口腔感覚について改めて学ぶことができ、理解することが臨床においていかに大事かを知ることができたと感じました。
午後からは歯周組織におけるインプラントと天然歯の相違についてお話しいただきました。インプラントが感染に対しどのような反応をするかという事や現在のインプラント周囲炎に対する考え方や最新の研究の内容を知ることができ、大変有意義な時間でした。
初回の最後に会長である伊東隆利先生より医療安全について講義していただきました。伊東先生の病院で行われている徹底された安全管理を知る事ができ、また専門医はより高度な注意義務や医療水準が課せられるという言葉にはっとする思いでした。

今回の研修ではインプラントを適切に行うために必要な基礎的な知識の多さや、術前の診査診断、そしてそれに伴うリスクマネージメントの重要性を痛感し、身が引き締まる思いでありました。そしてこれらの内容を著名な先生方から講義を受けることができ大変幸せに感じております。
これから11月までの間、講師の先生方のもとで自分の知識や技術のスキルアップに邁進して参りたいと思います。

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KIRG100時間コース第一回目を受講して

23期生(平成29年度)受講生  大阪市 ゆたか歯科クリニック 菅 雄祐

平成29年度4月、KIRG100時間コース初日は
伊藤隆利会長による開講式で幕を開けました。
平成28年度は熊本地震により一時はKIRG開催も危ぶまれましたが、諸先生方の教育にかける情熱と努力で無事修了したとのお話がありました。
まず、松浦正朗教授によるインプラントの歴史についての講義が始まりました。種々のインプラントの摘出写真やレントゲン写真を見せて頂き、普段触れることのないインプラントシステムの仕組みやトラブル例を知ることができました。昼休憩を挟んで、続いては井出吉信学長のインプラントのための口腔解剖学の講義でした。珍しい顎骨の切片写真など、学生時代にも見ることができなかったとても興味深いスライドを惜しげもなくたくさん見せて頂き、学生時代にこの講義を受けることができていたらもう少し成績がよかったのではないか・・・と思ったりもしましたが、その後の実習で予想以上に学生時代の知識が失われていることを痛感しました。
その後の湯浅賢治教授によるインプラント治療における画像診断支援の講義では、現行のCTの細かい違いや選び方について知ることができました。
初日はとても緊張しておりましたが、その後のwelcome partyでは諸先生方と受講生一同で親睦を深めることができとても充実した一日になりました。
さて、二日目朝は澤瀬隆教授による専門医制度の仕組みについての講義でした。申請方法や申請のコツについて詳細まで知ることができました。井上富雄教授によるインプラントの生理学の講義では、実際の実験の結果などを踏まえて丁寧にご講義頂き、記憶の彼方にある生理学の知識を少し取り戻せた気がします。
昼休憩を挟んで和泉雄一教授の天然歯とインプラントの相違の講義では、細菌叢の違いなどを中心にとてつもなくハイレベルな講義をして頂き、とても全て理解できた気はしませんがインプラント周囲細菌のコントロールについての考え方を知ることができました。二日目最後は伊藤隆利会長によるインプラントの医療安全についての講義でした。消毒、滅菌やリスクマネージメント、ヒヤリハットなどについて知ることができました。
今回やや遠方の大阪から参加させて頂きましたが、数あるインプラント研究会の中から、KIRGの100時間コースを選んで本当によかったと感じました。インプラント未経験者は勿論、インプラント経験者でも確実にレベルアップできる講義の内容になっていると思います。
講師を務めておられる諸先生方、大変貴重な御講義を誠にありがとうございました。

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